紫波ふる里センター(岩手県紫波町)

岩手県、第一号の産直・直売所

岩手県の内陸部と沿岸部をつなぐ国道396号の沿線。紫波町の山間部・佐比内地区にある峠の駅「紫波ふる里センター」は、2014年に創立20周年を迎えた東北屈指の「産直」だ(※東北地方では直売所を「産直」と呼ぶ風習が根強い)。
岩手県内で最初の産直として産声を上げた当時は、佐比内集落は約430戸。その内約100人が生産者組合を組織し、果樹を中心とした産直・直売農業の地に発展させてきた。
「やる時は、一つにまとまって徹底してやる。一息ついて遊ぶ時には、しっかり遊ぶということだよ。そうやってここまで来たんだよ」。創立以来長く組合長を務めた堀切真也さんはそう振り返る。

リンゴ・ブドウ・ナシ、山菜・普段野菜

設立以来力を入れているリンゴ・ブドウ・モモなどの果樹を中心に、普段使いの野菜、山菜・ニンニク・山野草などが主力商品だ

設立以来力を入れているリンゴ・ブドウ・モモなどの果樹を中心に、普段使いの野菜、山菜・ニンニク・山野草などが主力商品だ

現在の売上げ額は約1億9200万円(2012年)。設立以来力を入れているリンゴ・ブドウ・モモなどの果樹を中心に、普段使いの野菜、山菜・ニンニク・山野草などが主力商品だ。ある程度の量、まとまって出荷してもらい、物量感を持たせることが品揃え・棚づくりの秘訣だという。特に果樹のシーズンには、店内からはみ出して軒先に大量の果物が並ぶのが、地域の風物詩になっている。
農産物の仕入れは厳禁。「地域農業の振興を目的に設置したのだから、仕入れに頼ったら知恵を出せなくなる」と堀切さん。厳冬の岩手県、冬場は品揃えに苦労が絶えないが、組合員がそれぞれ保管している野菜を持ちより、「結構、たくさんの種類の品が並ぶ。保存の方法や調理法など、農家には多くの知恵がある」。

農家が主人公の直売所

この店のもう一つの大きな特徴は、販売額が2億円近くになっているにもかかわらず、今も、レジスターを扱い、お客さんの対応をする販売員は、組合員の当番制だということ。
こういう農家が直接販売に立つ店は、全国でも数少なくなった。
店内は、当番店員の農家が大きな声で商品を紹介していたり、顔見知りの農家とにこやかにあいさつを交わしていたり…とても賑やか。皆、店に出ることを楽しみにしている。中には、自分の代わりに孫に当番をさせたりして、孫にも、直売所の楽しさを教えようとしている人も多い。そのことによって逆に、当番店員の若返りが進み、店の雰囲気が華やかになるというメリットもあるという。

中山間地の継続可能な農業を

horikiri-san「中山間地では、今後ますます、産直・直売所を中心とした地域農業以外には継続不可能になって行くのではないか」と堀切さんは話す。紫波産直センターでは、地域にないものは育ててきた。工夫して挑戦してきた。
当初はリンゴしかなかった果樹も、ブドウ・イチゴ・モモ・プラムなどを増やし、佐比内地域をフルーツの里へと育ててきた。山野草・山菜・キノコ・ニンニクなども特産品に育て上げてきた。
「自然の一体として農業をすれば、それを幸福に感じることができる。自分の生命を支えるために農業をすれば、それが地域や人々のためになり、自然のためにもなる。そういう魅力ある農業をしようという勇気と決断が大切だ。そして、それを伝えるのは産直なんだよ」。75歳の堀切さんの目は、若々しく輝いていた。

 

文:産直新聞社代表 毛賀澤明宏

 

【店舗情報】
紫波ふる里センター
■住所〒028-3316 岩手県紫波郡紫波町佐比内字馬場80-1
■営業時間8:00 ~ 18:30 ※11月 ~ 3月までは、18:00閉店
■電話019-674-2757

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